貴船社(名古屋市名東区貴船)

貴船社(名古屋市名東区貴船)にお参りしました。「貴船」という地名は、柴田勝家が川に浮かべた「貴い船」が由来との言い伝えもあります。

貴船社(名古屋市名東区貴船)鳥居

貴船社の鳥居。高台に鎮座しています

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

名東区には貴船社が2つあります。1つは、住所が”一社”の西一社貴船神社。もう1つが、今回紹介する”貴船”の貴船社です


貴船社(貴船神社・貴舩社)

  • 御祭神:罔象女神みつはのめのかみ
  • ご利益:水の神
  • 社格など:十三等級、旧村社
  • 例祭日:10月15日

僕の地元は名古屋。昔このあたりを通るたびに、親が運転する車の中で「貴船って、なんか格好良い名前だなぁ…」と子供心に感じていたのを思い出しました。

貴船社(名古屋市名東区貴船)手水舎

手水舎。心身を清めて拝殿へ向かいます

この記事には、

  • 貴船社の由緒や歴史(境内風景とともに)
  • 貴船社の基本情報(アクセスなど)

といった情報をまとめておきますね。さっそく貴船社の由緒を3部作でお届けします。


貴船社(名東区貴船)の由緒を境内風景とともにお届け

1.貴船社はもともと矢白神社だった?【武内宿禰の昔話】

貴船社(名古屋市名東区貴船)拝殿

拝殿

貴船社(矢白神社)と武内宿禰

  • 昔、このあたりが旱魃かんばつの際、武内宿禰たけうちのすくねが通りかかる
  • 武内宿禰は、村人に「白い鷹の羽の矢」を渡して、水の神を祀るように伝える
  • 村人は言われたとおりに神社を建て、矢白神社やしろじんじゃと名付ける(のちの貴船社)
  • 「矢白」が「やしろ」に転じて村の名前(=社村やしろむら)になる

昔、村が干ばつに悩んでいた際、武内宿禰が通りかかりました。武内宿禰は、白い鷹の羽の矢を渡して、水の神(ミズハノメ)を祀るように伝えます。

村人は、言われたとおりに神社を建て「矢白(やしろ)神社」と名付けました。コレがのちの貴船社だと言われています。

貴船社(名古屋市名東区貴船)稲荷社

境内社の稲荷社

また「矢白」が「社」に転じて、村の名前も「社(やしろ)村」になったということです。

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

武内宿禰は、景行から仁徳まで5代の天皇に仕えたという伝説上の人物。お隣・長久手市には、景行天皇を祀る景行天皇社があります


2.貴船社の分祀【社村が3つに分かれた】

貴船社(名古屋市名東区貴船)本殿

本殿

社村の分村に伴う貴船社の分祀

  • 永正年間(1504-1521年):社村が3つ(上社かみやしろ村・下社しもやしろ村・一色いっしき村)に分かれることに
  • 貴船社(矢白神社?)も、それぞれの地を選んで分祀される
  • 下社村に建てられたのが、現在の貴船社(名東区貴船)だとされる

永正年間になると、社村は「上社村・下社村・一色村」の3つに分かれることに。コレに伴い、貴船社(矢白神社?)もそれぞれの地に分祀されます。

このうち下社村に建てられたのが、今回紹介している貴船社(名東区貴船)だということです。

貴船社(名古屋市名東区貴船)境内社(秋葉社・津島社・富士浅間社・皇大神宮・山神社)

境内社。左から秋葉社・津島社・富士浅間社・皇大神宮・山神社・山神社です(山神社が2社あります)

なお上社村の貴船社は、明治42年に日吉神社(上社2丁目)に合祀。一色村の貴船社は、西一社貴船神社(一社3丁目)として現存しています。

下社村と一色村は合併して「一社村」に


名古屋市営地下鉄東山線

名古屋市営地下鉄東山線

ちなみに明治11年、下社村と一色村は合併して「一社村」となります。当時の読み方は「いちやしろむら」。

地下鉄東山線の駅に「上社(かみやしろ)駅」と「一社(いっしゃ)駅」があり、名古屋に遊びに来た友達から…

僕の友達僕の友達

なんで同じ漢字(“社”)なのに、読み方が違うんだ?ややこしいだろ!

と、冗談交じりに怒りをぶつけられたことがありますが、言われてみれば同感です(笑)

なぜ「一社(いっしゃ)」と読み方を変えたのでしょうか。発音のしやすさかな?


3.貴船社の名前の由来【柴田勝家に関する言い伝え】

貴船社(名古屋市名東区貴船)西鳥居

西鳥居

貴船神社の名前の由来

  • 昔、この辺りを流れる川には橋が無かった
  • 柴田勝家が、川に船を浮かべて板をのせ、人が渡れる橋を作った
  • 村人がこの船をとうとい船」と言ったため、神社も「貴船社」と名付けられた

戦国時代、近くを流れる川には橋がありませんでした。そこで柴田勝家が、川に船を浮かべて板をのせ、人が渡れる橋を作りました。

村人がこの船を「貴い船」と言い、神社の名前(貴船社)にしたそうです。明徳寺(陸前町)には、柴田勝家の誕生地石碑がありますよ。

貴船社(名古屋市名東区貴船)社務所(貴船コミュニティセンター)

社務所。隣接する貴船コミュニティセンターの2階です

貴船社の由緒についてはこんな感じ。史実よりも言い伝えがメインでしたが、地名の由来も知れて、調べていて楽しかったなぁ。

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

補足!愛知縣神社名鑑(愛知県神社庁,1992)には、貴船社の創建に関して「寛文二壬寅年(1662年)9月」とあります。勝家の死から80年ほど経った年です

参考資料の紹介を挟んだのち、貴船社の基本情報(アクセスなど)をのせて記事を締めますね。

記事をまとめるにあたって参考にした資料

貴船社(名東区貴船)のアクセス・駐車場

貴船社(きふねしゃ)

・住所:愛知県名古屋市名東区貴船2-1901
・公式サイト:貴船社|貴船コミュニティ

・アクセス:上社駅(地下鉄東山線)4番出口から徒歩18分
・駐車場:なし

ぼく(なごやっくす)ぼく(なごやっくす)

お参り中に、地元の方でしょうか、慣れた様子で神社前の道路に停車&参拝していく方がいらっしゃいましたよ。ご参考までに



参拝所要時間は20分ほど。境内は特別緑地保全地区になっており、森に守られている感覚を覚えながらの参拝となりました。また来よう。

西一社貴船神社(名古屋市名東区)の御朱印

上の写真は、西一社の貴船神社で授かった御朱印。今回紹介した貴船社から徒歩14分です。お参りしたときの様子は以下のページにまとめてあります。

名古屋市の御朱印一覧